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ロシア 歳時記 NO.1

3月

 М.Пришвинならば、ロシアの春を語るところであるが、ここではスケソウダラである。日本の魚介図鑑によれば、すけそうの旬は冬だが、オホーツク海の3月はすけそう漁真っ盛りである。言わずもがなだが、すけそうだらはたらこの親。親は日本人にはあまりなじみがないが、北海道では鍋にして食べる。身に独特の臭みがあり、それで敬遠されるのかもしれない。日本人には、かまぼこの原料としてのすり身の方がなじみがあるかもしれない。韓国では昔から干したり、スープにしたりして盛んに食べられる。個人的には”メウンタン”というスープが好きで、酒にも合うし、二日酔いの朝食べてもうまい。

 ロシア船で作られる冷凍すけそう製品は、大部分が中国に輸出される。そこでフィレやフィッシュスティックに加工され、ヨーロッパやアメリカに輸出される。確かなことは知らんが、イギリス人の食べるフィッシュ&チップスの魚は、ロシアのすけそうかもしれない。 

 腹だしされたたらこは凍結され、釜山で入札にかけられる。日本からたらこの加工屋さんが大挙して訪れる。1年分の原料を、この時期に集中して仕入れるのだから、なかなかハードな商売である。

 もう30年も前になるが、ロシアのすけそう漁船に乗ったことがある。女工さんが300人も乗っている大きな船で、それ自体が一つの村のようで、なかなか壮観であった。今は、機械化が進んで、70名とか100名ぐらいだと思う。冷たい海の上で、アザラシなんかを見つけながら、帰国の日を心待ちにしていた時期が懐かしくもある。

井上